「あなかしこ」の意味についてよく聞かれます。
蓮如上人が、親鸞聖人の教えを多くの人に知ってもらいたいと手紙のかたちで法話を書かれたのが「お文(ふみ)」「御文章(ごぶんしょう)」と言われているものです。
よく知られているのは、「白骨の御文章(お文)」といわれるものです。
「朝には紅顔(こうがん)ありて 夕べには白骨となれる身なり」
という言葉が有名ですね。(白骨の章の説明は→こちらでどうぞ。)
そして、このようなお手紙(お文)の最後に、必ず、しめくくりの言葉として使われているのが「あなかしこ」という言葉なのです。
この「あなかしこ」ってどういう意味ですか?
このように尋ねられることが多いので、お答えしたいと思います。
あなかしこの意味
「あな」とは、「ああ」という感嘆の言葉です。「かしこ」は、今日も、女性の方が、手紙の最後に使う言葉ですね。
「かしこ」は「かしこし」とも言われ、今日の言葉では「恐れ多い」とか「もったいない」という意味です。
つまり、「あなかしこ」とは、「ああ、もったいない」という意味になります。
そこで「もったいない」という言葉。これは、実は大変深い意味があります。仏教の教えと、ゆかり(縁)がある素敵な言葉ですので、少しお話ししましょう。
「もったいない」は、Mottainai とローマ字表記で、今日、「世界の人に知ってもらいたい日本語」としても知られています。
◆「勿体無い」には、2つのニュアンスがあります。
英語にすると、
- Wastefl 「無駄遣い」
- not worthy 「分不相応」
という2つの意味です。
では、「あなかしこ」を「ああ、もったいない」と現代語訳した時の「もったいない」は、どちらでしょうか?
そうです。
2.の「分不相応」という意味になります。
「このような尊い親鸞聖人の教えを説くには、煩悩の塊のお粗末な私(蓮如)は、本来は、分不相応なのです。でも、救われた喜びからお伝えせずにおれないので、謹んで書かせていただきます」
という蓮如上人のかしこまった心なのです。それで、「あなかしこ」と締めくくられているのでしょう。
いかがでしたか?
「あなかしこ」という言葉にはこのような意味があったとお分かり頂けたかと思います。